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Posted by vickywallst on 16.2013 政治・社会   0 comments   0 trackback
=転載=
STIGMA
この国の狂気は、「逃げ切れると確信するほど残酷になれる」という、人間の普遍的な邪悪さによるのだろうか。

被曝地における女子中学生の甲状腺異常が、50%を超える事態となっているのであり、つまり彼女らはこの時代におけるスティグマ(社会的に見捨てられた者)なのだろう。行政は全くの無策であり、むしろ棄民を黙約としているのであり、大新聞を筆頭とする巨大メディアはそれを無害とするプロパガンダに腐心しつつ、医師会も弁護士会も教職員組合も階級関係を担保に、人類史上最悪の構造的暴力に加担している。

結局のところ、どれほど健康被害が明るみになったところで、絶対的な有責者の特定は不可能だ。自治体と教育機関は中央省庁の指導によるものだと主張し、中央省庁においては文科省、厚労省、国交省の責任区分が不明瞭であり、彼らはおそらく国政の議決によるものだと抗弁し、国政は歴代の政権によるものだと回避するのであり、さらにメディアは通信社による錯誤だと居直り、通信社は報道管制がもたらした瑕疵であると見解を貫き、かくして加害者集団は全てを曖昧化するのだろう。つまり、誰一人として責任を取らない。

中央省庁は原発関連の40ちかい公益法人と特殊法人を所轄しているのだが、それらが歴代OBの天下り先であることは語るまでもなく、事業の定款として、原発立地調査や運転技術の確立などを謳っていながら、このような破滅的な事故を引き起こしつつ、縮減や統廃合が議論の俎上に載ることすらないわけだ。被爆地児童の避難請求が棄却されながら、加害者の不労所得は万全に確保されるという不条理であり、かくも社会資本配分は欺瞞(デタラメ)である。

国家賠償法第1条には、行政上どのような瑕疵があろうとも、官吏の法的責任は追求されないと明記されているのだから、彼らが数千万人を被曝させようが、少女達の未来や、生まれてくるはずであった生命を蹂躙しようが、咎を負うことはないのであり、あらためて官吏とは超法規的な特権階級に他ならない。

数十万人の未成年者を、強烈な放射線に晒すという「未必の故意」が、あからさまに横行する事情とは、行政、教育、報道、医療、学識にかかわる各々が、「逃げ切れる」という絶対の確信を抱くことによるのであり、そのような道徳原理の不在が、社会狂気を増幅させているのだと思う。

我々は調整された仮想現実に薄々気付いているのだが、それは記憶素子に格納されたソフトウエアモジュールの再生に等しく、つまり根源的に現実は不在であり、知覚情報は無効なのであり、もはや実像とシミュレーションを厳密に区別する方法など存在しない。幻想を克服し、苦境の本質へ到達するには、肉体の視力を超越した何かが求められるのだろう。

本来的に生きていくことは無数のリスクとの格闘であり、おおよそ人類の大半は生まれた瞬間から、ただ生き残るための熾烈な競争を強いられるのだけれど、奇跡的な確率で戦後日本の繁栄期に存した我々は、社会動物としての本能を致命的に磨耗させたのであり、つまり存在のために激しく考え続けなくてはならないという人間原則を喪失し、「過去の延長が未来である」というピット・フォール(無思考の陥穽)に転落したのかもしれない。

自分はこの社会が人類史上最も狂った体系であると思うのだが、皆様方はいかがだろうか?

原子炉4基が僅か200キロ先で崩壊しているのに、経済市場は投機に浮かれているのであり、膨大な放射線が首都圏で確認されているにかかわらず、いまだ彼らはそれが土地本位制度の破綻に連鎖するというイメージが奮起できない。被曝地の児童が助けを求めながら、市民はそのような情報を意味化できず、すなわち人権や生命という概念を抽象する高度領域の知力が毀損しているのであり、破滅が目前に迫りながら、メディアの同調ムードに幻惑され、スポーツ中継とバラエティ番組に熱中するわけだ。

つまり我々は軽薄という濃密の無気によって窒息している。

ゴールトンの「平均への回帰」によると、遺伝的優位あるいは社会的優位も世代を重ねるごと平均化され、存在はあまねく勃興と没落を時間原理とするのだけれど、むしろこの体系は崩壊セクターでなく消滅セクターへ突入しているのであり、次世代の被曝という悲惨はその予兆に過ぎないのである。


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